今回はコンクリート曲げひび割れ問題の応用問題を解説します。基本問題をまず確認したい方は、以下の記事を参考にしてくださいね。
それでは問題を紹介します。
問題
コンクリート曲げひび割れ応用問題-minポイント
この手の問題は3つの手順で解くことが出来ましたよね。順番は
- 曲げモーメント図を描く
- 引張を受けるところに引張鉄筋を配置する
- 各部材において引張側の曲げモーメントが特に大きい位置にひび割れを描く
です。しかし、今回の問題で曲げモーメント図を求めようとすると、なかなか難しいと思います。なぜなら、2次不静定構造だからです。コンクリートの問題で純粋に2次不静定構造のM図を求めさせるとは考えにくいです
よって、何か違う解き方をあるはずだという考えで問題を解きましょう。梁の曲げ剛性が無限大という言葉がヒントになっています。
それでは解答を紹介します。今回は2通りの解答案を作りました。
解答(6ページあります)
コンクリート曲げひび割れ応用問題解答-min解答の補足
梁の曲げ剛性が無限大について
解答1では梁の曲げ剛性が無限大という条件を使用しました。曲げ剛性が無限大ということは、梁が絶対に曲がらないということです。この条件により、梁は曲がることなく、柱が曲がる分だけ横に水平移動することが分かります。剛床仮定のようなものだと考えて下さい。後は、辻褄が合うように、固定端では直角を保たせ、ピン支持は自由端のように扱い、変形形状を描きます。変形形状が描ければ、それを満たすM図を描くことが出来ると思います。
対称構造に水平荷重を作用させた場合について
解答2では対象構造に水平荷重を作用させた場合のM図を利用しました。

この場合に得られるM図の分布の形状を知っていると、より早く解答できると思います。このM図はよく見かける分布なので、覚えておいても良いかと思います。ちなみに、柱の曲げモーメントが0になる位置は、柱の上下の梁の曲げ剛性によって変わります。柱の高さが半分の位置で0になるとは限らないので注意して下さいね。(今回の問題は半分の高さで曲げモーメントが0)
このM図を参考に右柱をピン支持にした場合に、ピン支持点のモーメントが0になるようにモーメントを再配分すると、求めたい大まかなM図が得られます。
まとめ
今回の解説は以上です。今回の曲げひび割れ問題は、応用問題のため、普通の解き方では難しくなっています。なにか他の考え方があるのではと、疑って問題を解くと解答の糸口が見つかると思います。剛床仮定や、解答2で用いたM図の知識は他の場面でも使えるかもしれないので、是非押さえていって下さいね。