前回の記事に続き、今回も断面一次モーメントのお話です。
前回の記事を読んでない方や、断面一次モーメントが良く分からない方は以下のリンクを確認してみて下さいね。
この断面一次モーメント、断面の性能を示す一種の数値なのですが、断面の図心も求める際によく使うのです。どうやって、断面の重心を求めるのか、一緒に考えて行きましょう。
断面一次モーメントの言葉の式
まず、断面一次モーメントの言葉の式を振り返りましょう
断面一次モーメントは
断面一次モーメント = 断面積 × 断面の重心と基準軸との距離
で表わすことが出来ましたよね。
そして、もう一つ重要な点として、断面一次モーメントは分解して考えることが出来るという性質がありました。(積分で断面一次モーメントを求める際に、断面を微小な断面に分解して計算していたことを参考にして下さい。)
これらの点を意識して、T字型断面の重心位置を求めてみましょう。
T字型断面の図心位置を求めよう
こんかい考えるのは下の図のような断面です。基準軸は、分かりやすいように断面の下端に取りましょう。(基準軸は基本的にどこに取っても良いのですが、断面の端に取るのが一番計算しやすいです。)

この断面の図心とx軸との距離をy0(㎝)とすると、言葉の式よりx軸周りの断面一次モーメントGxは
Gx = (1×4+4×2)×y0 = 12y0
になります。一方で断面一次モーメントは、下の図のように上の長方形と下の長方形に分解して求めることも出来ます。

この時、下の長方形のx軸周りの断面一次モーメントgx1は
gx1 = 1×4×2 = 8 ㎤
上の長方形のx軸周りの断面一次モーメントgx2は
gx2 = 4×2×5 = 40 ㎤
ここで、Gx = gx1 + gx2 だから
12y0 = 8 + 40 = 48
y0 = 4 cm
となります。
以上より図心位置は求まりました。図は以下の通りです。

まとめ
今回は断面一次モーメントを用いて、図心の位置を求めました。ポイントとしては
- 基準軸と重心の位置との間の距離をyoなどと置き、言葉の式を用いて断面一次モーメントを求める
- 断面を、重心の位置が分かるような部分に分解して、それぞれ断面一次モーメントを求める
- 1と2が等しいことから、y0の値が決定できる
を押さえて下さいね。図心の位置が簡単に分かる場合はいいのですが、T字型断面のような断面に対してはこの方法で重心の位置を求めましょう。
最後まで見て頂き、ありがとうございました。