静定梁の断面力解析1

静定構造

今回は静定梁の断面力解析の方法を解説します。おそらく構造力学で最初に行う計算になると思います。計算に入る前に、軸力せん断力曲げモーメントなどの用語を勉強すると思いますが、それらの用語はまた別の記事で解説しますね。
それでは、まず問題を紹介します。

問題

静定梁1-問題-min

解答のポイント

断面力解析とは

まず断面力解析について説明します。断面力解析をしなさいとは、すなわち断面に作用する力を記述しなさいということです。記述方法は色々あると思いますが、基本的には断面力図(N図、Q図、M図)を描くことで解答します。次に、断面力図の求める手順を説明します。

断面力図を求める手順

①構造全体に関する釣合式を立てる

まず構造全体に関する釣合式を立て、支点(構造を支える点)に作用する反力を求めます。高校物理で学んだように、X方向やY方向に関する力の釣合式や、モーメントのつり合い式を立てることで、反力を求めましょう。反力が求まったら、構造全体の釣合図を描きましょう。この際、本当に釣合っているのかを、確認しておくと計算間違いを減らすことが出来るのでオススメです。

②自由体に関する釣合式を立てる

つぎに自由体を作成します。自由体を作成する際は、断面力の向きに気をつけてくださいね。正側断面、負側断面どちらにおいても、正の断面力を仮定しましょう。断面力を仮定したら、先ほどと同じように自由体に関して釣合式を立て、断面力を求めましょう。

➂断面力図を描く

②で求めた断面力を基に断面力図を記述します。軸力図とせん断力図は、値に正負を記載して下さいね。モーメント図は、引張側に描きましょう(正負は書きません。断面の上側下側のどちらが引張を受けるかを把握するためにM図を描くからです)。時間があれば、以下を確認しましょう。

  • 支点反力と断面力図の整合性
  • 外力と断面力図の整合性
  • モーメント図とせん断力図の整合(M図の傾きが、Qの値になっているか)

これらのポイントを意識して、問題を解いて行きましょう。

解答

問(a)2ページあります

静定梁1-解答1-min

問(b)2ページあります

静定梁1-解答2-min

問(c)2ページあります

静定梁1-解答3-min

解答の補足

解答に際し、図のx軸は右向き、y軸は下向きに取っています(基本的な軸の取り方です)。また、軸力が作用する場合がなかったので、軸力図は省略しています。

これらの問題から分かる重要な性質は、

M図の傾きは、Qの値と一致する

です。この事実を利用すれば、頭の中で自由体をイメージし、せん断力を求め、M図はそのせん断力の値を傾きとして描くこと出来ます。特に集中荷重のみが作用する場合は、この方法を使うと早くM図を求めることが出来ます。今回の場合は、問(a)(c)です。慣れが必要ではありますが、M図の傾きは、Qの値と一致することを常に意識すれば自然と習得できます。

まとめ

今回は静定梁の断面力解析をしました。構造力学で初期に習う計算問題の一つなので、ぜひ押さえて下さいね。