断面一次モーメントを知ろう

断面の性質

断面一次モーメントって聞いたことありますか?大学にもよりますが、2年生ぐらいの構造力学の授業で習うと思います。

この断面一次モーメント、構造力学の世界では良く使いますが、「なかなか意味が分からない」「なにを計算しているか分からない」といった人も多いと思います。

今回は、この断面一次モーメントについて説明しますが、一回で完全に理解できなくても良いので、ぜひ求め方だけでも整理していってくださいね

断面一次モーメントとは

まずは断面一次モーメントの定義を説明します。
定義式よりも先に

断面一次モーメントは断面の性質を表す一種の数値である

ということを押さえてください。言葉が専門的になると、この数字は何なんだ?ということによくなりますよね。

言葉に騙されず、単なる性質を表す数字と考えた方がすっきりします。

例えば、「このフライパンの耐熱温度450℃である」
    「この断面の断面一次モーメント20㎤である」
のような考え方です。

断面一次モーメントの定義式(言葉の式)

ではその断面一次モーメント、どのような式になるのでしょうか。

まず、言葉の式で表します。

断面一次モーメント = 断面積 × 断面の図心と基準軸との距離

です。
例えば、以下のような図において断面一次モーメントGxは
Gx = ab × y0
で表わすことが出来ます。
このGxはx軸まわりの断面一次モーメントを表しています。

ここで、気づいた人がいるかもしれませんが、もしx軸が断面の重心位置を通る場合、y0は0になるので、断面一次モーメントGxも0となります。

すなわち
断面1次モーメントを求める際は、どこに基準軸を取るかで値が変わるので、その点には注意しましょう。

一体、この計算式は何をしているのでしょうか?
私は、断面に圧力が作用していると仮定した場合の、基準軸まわりのモーメントと理解しています。

詳しい説明はまた別でします。

断面一次モーメントの定義式(数式)

断面一次モーメントを言葉の式で求めた次は、数式を使って求めてみましょう。

言葉の式では、Gx = ab × y0 のように、全断面積×図心までの距離で計算しましたが、この方法は、図心位置が分かっている場合に使えます。仮に、先ほどの図で図心位置が分からないとした場合、図心位置が分かる微小な断面に分解して考えます

上の図において、斜線部分の長方形が重心位置が分かっている微小な断面とします。この微小断面の断面一次モーメントは
gx = bdy × y
で求めることが出来ましたよね。このような微小な断面の断面一次モーメントを、何個も計算し、その合計を断面一次モーメントGxとするのが、数式による求め方です。

つまり、積分を使います。

式は以下の通りです。

y0 = c + a/2 y より、cを消去すると
Gx = ab × y0が導けます。


一般的に断面一次モーメントは

で表わすことが出来ます。この式は定義式として覚えておいても良いでしょう。
しかし、基本的には言葉の式で求めることができるので積分式はほぼ使いません。

解き方としては、まず言葉の式を覚えるといいと思います。

以上が断面一次モーメントの説明です。

断面一次モーメントは図心位置を求める際にも使用するのですが、その方法は以下の記事をみて下さいね。

最後まで読んで頂きありがとうございました。