今回は仮想力の原理です。仮想力の原理は、補足仮想仕事の原理と呼ばれることもあります。つまり仮想仕事の原理と近い関係がある原理ですね。まず仮想力の原理とは何かを確認しましょう。
仮想力の原理とは
仮想力の原理とは簡単に説明すると
外力がする仮想仕事 = 内力がする仮想仕事
が成り立つということです。あれ?仮想仕事の原理と一緒なの?と思う方もいるかもしれませんね。そうです。ほとんど一緒なのです。ただし、仮想として扱うものが違います。仮想力の原理はその名の通り、仮想の力を用います。一方で仮想仕事の原理は仮想の変位を用いていましたよね。そのため仮想仕事の原理は、仮想変位の原理と呼ぶこともあります。まとめると、以下のようになります。
仮想力の原理と仮想変位の原理の関係

今回は、この仮想力の原理を用いて問題を解き、理解を深めて行きましょう。
問題
仮想力の原理1-問題-min解答の手順
問題ではどのように仮想力の原理を用いるのでしょうか。仮想力の原理を用いるためには、まず仮想の力を置く必要があります。仮想の力なので、大きさはP’やFなど何でもよいのですが、計算を簡単にするために、単位荷重1を仮想力とすることが多いです。ではこの単位荷重1をどこに作用させるべきでしょうか。置く場所は決まっていて、変位を求めたい位置に荷重を作用させます。その後、外力と内力の仮想仕事を求めていくのですが、内力の仮想仕事は公式を使って求めます。公式は内力のする仮想仕事をWiとすると

で表わすことが出来ます。ここで、Mは条件で与えられた荷重Pによるモーメントの式、Mバーは単位荷重1によるモーメントの式です。この式の導出の説明は少し難しいので省略しますが、部材長さ分の積分により、Wiが求まります。まとめると、以下のようになります。
- 変位を求めたい位置に単位荷重1を作用させる
- 与条件の荷重によるMの式を求める
- 単位荷重1によるMの式を求める
- 外力と内力のする仮想仕事をそれぞれ求める
- 変位が求まる
それでは解答です。
解答(4ページあります)
仮想力の原理1-解答-min解答の補足
内力のする仮想仕事Wiを求める際に、積分範囲をL/2からLで取っています。本来は0からLですが、今回系0のモーメントが0からL/2において0のため、省力しています。もし全断面に渡ってモーメントが作用している場合は、0からLで積分します。
また、C点を基準にxy軸を取りましたが、A点やB点を基準にしても大丈夫です。さらにxyの正の向きも計算しやすいように自由に決めて下さいね。
まとめ
今回は仮想力の原理の解説をしました。仮想変位の原理と似ているため、分からなかった方もいるかもしれませんね。復習をして定着させていきましょう。また、今回の問題は仮想力の原理以外にも、変形の公式を使って解くことも出来るので、別解にも挑戦してみてください。曲げ変形の公式は以下の記事を参考にしてくださいね。