今回は仮想仕事の原理を用いてトラスの問題を解きます。解く手順は梁の場合と基本的に同様です。ポイントは
外力がする仮想仕事 = 内力がする仮想仕事
でした。このポイントを念頭に置いて、問題を解いて行きましょう。それでは、本題に入ります。
問題
仮想仕事の原理2トラス-問題-min解答の手順
問題ではどのように仮想仕事を用いるのでしょうか。仮想仕事の原理を用いるためには、まず仮想の変位を置く必要があります。そのために、骨組みのどこかの部材の拘束を外す必要があります。拘束を外さないと、変位を与えることが出来ないからです。ではどこの拘束を外すべきかというと、求めたい内力が作用している部材です。今回の場合はBD材を除去することで、トラスは運動可能(変位を与えることが可能)となるのです。その際、もともと作用していた軸力を外力として接点に作用させることを忘れないで下さいね。まとめると以下の手順となります。
- 内力を求めたい部材の拘束を外し、部材に作用していた軸力を外力として作用させる
- 仮想の変位を与える
- 外力のする仮想仕事と内力のする仮想仕事をそれぞれ求める
- 外力のする仮想仕事=内力のする仮想仕事より、軸力を求める
それでは解答です。
解答
仮想仕事の原理2トラス-解答-minB点とC点のy方向変位が異なることに、注意して下さい。
解答の補足
仮想の変位を与えることは出来ましたか。部材の除去の次に行う、仮想変位を与えるという操作には慣れが必要です。はじめは、骨組みがどのような運動機構になるかイメージ出来なくても全然良いです。問題を解いていく過程で、変形の仕方を覚えて行きましょう。また、変形後のトラスをオレンジ色の線で表現しましたが、幾何的には矛盾した変形に見えます。ですが、仮想仕事の原理は大変小さい変形を考えているので問題はありません。図を描くときは見やすいように変形を誇張しています。
ちなみに、トラスの軸力図は下のようになります。

簡単なトラス構造の場合、構造力学の初期に学ぶ釣合条件で軸力を求める方が簡単です。しかし、複雑なトラス構造のある部分の軸力を求めたい時には、仮想仕事の原理は一つの手段になります。
まとめ
今回は仮想仕事の原理を用いて、トラス構造の軸力を求めました。トラス構造の運動機構がどのようなものになるのかなど、イメージしにくい部分も多かったかと思います。ぜひ復習や類題を解くことで、理解を深めて下さいね。